このような所得や富の分配が社会にとってどのような意味を持ってきたかを示す。
市場において人々がそのような価値を持っかで給与が決まる能力主義の主張は、それ自体がトートロジー(その人に人徳があるから高級がもらえるのだという理屈=同語、類語、反復、反復後)を生み、市場がどのように構築され、それが道義的にも」経済的にも正統化できる状態かどうかという問いへの答えをはぐらかしている。実際は所得も富も、ゲームのルールを作れるだけの権力を保有している人々の手に、ますますゆだねられているのである。
大企業のCEO]や金融界のトップトレーダ―やポートフォリオマネジャーは、インサイダー情報を使って自らの取り分を膨らませつつ、企業収益を増大する」ことができるような市場ルールを推し進め、自分たちの報酬を自分たちで自分たちで効率よく決めている。
一方で、平均的労働者の給与は、先に述べたように政治面でも対抗できる影響力を失ったために、ずっと上がらないままだ。ワーキング・プア―とノンワーキング・リッチの両方が同時に急増していることも、もはや報酬が努力は連動していないことを証明している。市場内部で未分配のままの富がトップに集中していくために、市場の外では、税金や給料を通じた貧困層や下位中間層など下部への大規模な再分配が求められる事となったが、こうした要請は、大きな政府か小さな政府かという扇動的な議論に油を注ぐだけであった。
第三部での
解決策は大きい政府でも小さい政府でもない事である。問題は政府の規模でなく、誰のための政府かという事なのである。改善策は圧倒的大多数の人々が市場形成に与える影響力をその手中に取り戻す事です。
そのためには、現在、利益の分け前を得られない大多数の人々が自ら経済的権益を連合させて新しい拮抗勢力を形成しなければならない。
しかし、「自由市場」と政府との対抗させる現在の左派と右派の対立によって、不必要に、そして意固地なまでにこうした勢力の連合が阻害されている。
今後の米国や日本における最大の政治的分断は、共和党と民主党(日本の自民党や他の野党)の間では起こらないだろう。
起こるとしたら、大企業」やウオール街」の銀行や、政治」や経済の仕組みを自分を利するように変えてきた富裕層
と、その結果、自らが苦境に立たされていることに気づいた大多数の人々の間においてであろう。
私(Tobiuo)の結論は、この動きを逆行させることが出来るとしたら、その唯一の方法は、現在、ゲームのルール作りに対する影響力を失っている圧倒的大多数の人々を、50年前に広範な繁栄へのカギであった拮抗勢力として再結集して、組織化することである。
グロ-バル資本主義の中心地たる米国に焦点を当てているのの、これらに描かれている現象は世界各地の資本主義国でますます共通しており、米国で起きていることから学べる教訓は他国にとっても有効であると信じている。
グローバル企業は、進出国のルールに縛られるとは、巨大なグローバル企業の金融機関は、どこの国であレそのルール形成に影響力を発揮しつつある。自分を利することのない経済や市場のルールに対して無力感を感じている市井の人々がさらに不安感や不満を募らせば、敵意むき出しの国家主義的な動きや、時には人種差別や移民反対・宗教問題などの」市民感情を生み出し、世界の先進各国で政治不安が広がる恐れが出てくるだろう。
次回は、Tobiuoの提案を楽しみに!
MIM科学技術研究所(F.N) 断腸亭にて(Tobiuo)
mim1@live.jp or fumion23@gmail.com (090-1339-7963)